視聴前の“最高の6秒”を創る。「U-NEXTオリジナル」ロゴアニメーションができるまで
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視聴前の“最高の6秒”を創る。「U-NEXTオリジナル」ロゴアニメーションができるまで

U-NEXTは2020年8月より日本初・独占配信のコンテンツ「U-NEXTオリジナル」を発表。それとともに、「U-NEXTオリジナル」専用のロゴアニメーションを公開しました。

光と影によって「時間」を表現したロゴアニメーションには、太陽が昇り沈むまで、ずっと最高の時間を配信したいという想いが込められています。

シンプルでありながら強い印象を残すサウンドを手がけたのは、作曲家の光田康典氏。『クロノ・トリガー』や『クロノ・クロス』、『ゼノギアス』など、ゲームミュージックを中心に、アニメやドラマなど、多数の楽曲提供で知られています。

今回は、U-NEXTのメンバーと光田氏が共に創り上げたロゴアニメーション制作の舞台裏を紐解くべく、ロゴとモーション制作に携わったブランド・マネジメントチームのブランドディレクターのJonathan Budenz(以下、Jonathan)とモーショングラフィックデザイナーのChew Xiao Mei(以下、Mei)、そして光田康典さんに制作の裏側を伺いました。

ブランドロゴではなく、新しいレーベルの名前

——まずは、ロゴアニメーションの制作がどのようなプロセスで進んだのか教えてください。

Jonathan:まず、アートディレクターのNicoと僕が「U-NEXTオリジナル」ロゴのコンセプトメイキングと制作を行いました。そこからMeiが加わり、モーション部分を率いた形です。

モーションが完成してから、サウンドを光田さんに依頼し、現在のロゴアニメーションが完成しました。

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ブランドディレクター Jonathan Budenz

——ありがとうございます。そうしたら、順番にお伺いさせてください。まず、コンセプトはどのように固めていったのでしょうか?

Jonathan:前提として「U-NEXTオリジナル」のロゴデザインは、通常のロゴデザインとは異なる、特殊な仕事だと考えています。

「U-NEXTオリジナル」は、U-NEXTから独立したブランドではなく、ミッションの実現に向けて、新たに展開するレーベルのようなもの。レーベルとしては分かれてはいるけれど、U-NEXTの進化の延長にも位置づけられていなければいけない。その関係をどのようにロゴで表現するかという問いから、コンセプトを考えていきました。

——どのように「分かれているけれど、延長にある」状態を表現していったのでしょうか?

Jonathan:最初に決めたのは、ブランドロゴと区別がつくように、大胆なフォントや色使いを避けること。キーワードとしては「ナイス、クリア、クリーン」を掲げました。「Original」の部分で用いたフォントも、U-NEXTのブランドロゴと違い、比較的細く、頭文字以外は小文字に。大胆さよりも洗練された印象を意識しました。

もう一つ、こだわったのは「U-NEXT」と「Original」という2つの単語を分ける縦のバーと、その前後にある余白のバランスですね。これらによって、2つの独立したロゴが視覚的に分離されつつも、1つのロゴとして関連づけられる。U-NEXTというブランドと、U-NEXTオリジナルというレーベルの関係を、視覚的に表現しています。

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光と影で24時間の流れを視覚化するロゴアニメーション

——Meiはロゴが完成してから制作に加わったんですよね。初めてロゴを見たときに、どのような印象を受けましたか。

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 モーショングラフィックデザイナー Chew Xiao Mei

Mei:ロゴと一緒に、Jonathanからコンセプトを聞いて、いくつかのキーワードが頭に浮かびました。ミニマリズムや永遠、24/7(24時間7日間)、ニューノーマルなどですね。U-NEXTオリジナル作品への好奇心を刺激しつつも、ユーザーの生活に溶け込み、末長く愛される。そんなロゴアニメーションにしたいと構想を膨らませていきました。

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ラフアイディアを書き留めたドキュメント(一部抜粋)

——キーワードをもとに、どのようにアニメーションへ落とし込んでいったのでしょうか?

Mei:まずはキーワードから思いつくパターンをいくつも制作しました。NicoやJonathanからは「go crazy(クレイジーにやってみて)」と言われていたので、とにかく実験しよう、と。

また、3Dアニメーションについては、チームのなかで私が一番詳しかったので、「どのような表現が可能なのか」を共有する意味でも、幅広いパターンを挙げました。

——完成したもの以外に、どのようなパターンがあったのでしょうか?

Mei:縦のバーを動かすパターンはいくつかありました。例えば、初めのシーンで、縦のバーが左から右へと流れていって、次のシーンでバーがロゴの真ん中に納まるというものです。

縦のバーを活かすのは悪くないアイディアでしたが、短い時間に2つのシーンを切り替えるため、U-NEXTオリジナルのロゴが印象に残りづらい。また、縦のバー自体がU-NEXTオリジナルを象徴するわけではないため、最終的には却下しました。

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バーにインスピレーションを得て、試作した案

——完成したロゴアニメーションは光と影で時間を表現していますよね。そのアイディアはどこから生まれたのでしょうか?

Mei:最初から「光と影を使って何かできないか」というアイディアはあって。実験を重ねるなかで、1日の太陽の動き、24時間の流れを表現できるのではと思ったんです。

私たちはユーザーを24時間楽しませるストリーミングプラットフォームです。その姿をシンプルに、けれど印象に残る形で伝えるために、光と影の表現はベストだったと考えています。

多面性とシンプルさを両立するサウンドへ

——ここからはサウンドを担った光田さんにお伺いします。Meiがモーション部分を完成させてから、サウンドの制作が始まったと伺いました。具体的にどのようなプロセスで進んだのでしょうか?

光田:まず、NicoやJonathanなどブランドマネジメントチームから、コンセプトと完成した映像を受け取りました。それを50回くらい繰り返し見て、映像のテンポや質感、テーマを掴み、イメージを膨らませていきましたね。

だいたい2、3日で複数パターンを作って、適宜チームから意見をもらいながら、ブラッシュアップを重ねていった形です。

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作曲家 光田康典氏

——コンセプトとロゴアニメーションからどのようなイメージが湧きましたか?

光田:まず、ロゴ自体は無機質な質感を持っているなと感じました。一方で、左から右へと動く光で、一日の太陽の動きを表現しており、自然的なイメージも有している。

つまり、無機質な質感に自然的な光が加わっているなと。ここに僕はU-NEXTオリジナルが展開していく作品の多面性のようなものを感じ、それをうまく音に当て込んでいけないかなと考えました。

あとはロゴがモノトーンなこともあり、大変シンプルな印象を受けました。これはきっと、ユーザーが作品を見て、自分なりの作品の“色”を感じ取ってほしいからではと解釈しました。

——多面性とシンプルさを同時に表現するのは難しそうです。どのように音で表現していったのでしょうか?

光田:僕の場合、多彩な音が入るサウンドを作るのは、そこまで難しくないんです。むしろ、必要ないものを削ぎ落としていくほうが勇気が要る。そのプロセスを経た結果、人の印象に残るものができると考えています。

ですから今回も、最初はゴージャスに多面的な音を入れ込んだパターンを作って、意見を交わしながら、必要のないものを削っていきました。

例えば、当初は冒頭の光と影が移動するタイミングに、インパクトの強い音を入れていたんです。けれど、インパクトを通り越して耳障りかもしれないという理由で削っていきました。

作品に没入する“心の準備”をしてもらいたい

——先ほど「複数のパターンを制作した」とおっしゃっていました。完成したもの以外に、どのようなパターンがあったのでしょうか?

光田:冒頭からユニークかつインパクトの強い音がドーンと鳴るパターンもありましたね。映像の冒頭にサウンドのクライマックスが来る構成で、完成したサウンドとは全く異なるアプローチを採っています。

それはそれで面白かったのですが、やはり割と派手というか、“どぎつい”サウンドだったので(笑)。これから何話も続けて視聴するようなシリーズもののオリジナル作品が出てきたとき、何回も聴くには、少し耳にひっかかりすぎるかもしれないなと考えました。

別パターンの音源

——完成したサウンドはどこにクライマックスが置かれているのでしょうか?

光田:映像では、周囲が暗くなりアイコンが真ん中に白く浮き上がった瞬間と、「Original」が出てくる瞬間、二つの“山”があります。完成したサウンドは、その山とシンクロした構成になっています。

長尺の映像であれば、あえて映像とサウンドをズラすことで、次のシーンへの期待値を醸成できるケースもあります。ただ、今回のロゴアニメーションは6秒間で、カット割りもありませんから。映像とサウンドが綺麗にシンクロしているパターンが、一番しっくり来ました。

——光田さんは、普段ゲームやドラマなど、長尺の映像に楽曲提供される機会が多いと思います。今回、短尺のロゴアニメーションのサウンドならではの難しさなどはありましたか?

光田:そうですね...。正直あまり変化はないかもしれません。映像が欲している音、聞いてくださる人の印象に残る音をつくるという点は同じですから。

尺の話ではないですが、ロゴのイメージを掴み、すり合わせていくのは難しかったかもしれないですね。

例えば、シナリオのあるゲームやドラマであれば、書かれたストーリーや登場人物の関係などから、作り手が何を伝えたいのか、受け手に何を感じて欲しいのかを読み取っていける。

一方、ロゴには伝えたいメッセージが抽象的かつ、凝縮された形で表現されています。そこから湧いたイメージが、ちゃんと作り手と重なっているのかは、より不安でした。

幸い、今回は私の解釈がチームのものとピッタリ合っていて。難しさよりも楽しさを感じながら、制作できました。

——完成したサウンドを通してユーザーにどのような気持ちになってほしいですか?

光田:これから物語が始まるんだなというワクワクした気持ちですね。作品を観る前の心の準備をしてもらいたいです。

さらに言うと、そうやって胸躍らせて作品を観た体験が記憶に残って。いずれサウンドを聞くだけで「あのとき、あんな映画を観たな」と思い出せるような存在になれたら最高ですね。

“オリジナル作品”でブランドは次の段階へ進む

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——光田さんのサウンドによって完成したロゴアニメーションを通して、MeiやJonathanはユーザーにどのような気持ちになってほしいですか?

Mei:「Wow」という驚きを感じてほしいですね。光の満ちた画面が暗くなり、ロゴが浮かび上がって、「Original」の文字が現れた瞬間。ユーザーが驚きを感じ、音と映像が頭から離れなくなる。そんな体験を届けられていたら嬉しいです。

Jonathan:ロゴアニメーションは、快適かつユニークな視聴体験の入り口です。光田さんがおっしゃったように、ユーザーが「これからゆっくりとコンテンツを味わうぞ」と、気持ちを切り替えるスイッチになることを願っています。

また、ロゴアニメーションはU-NEXTの思想を別の形で表現したものでもあります。ユーザーがU-NEXTというブランドを意識する機会にもなればと思います。

——最後に「U-NEXTオリジナル」という“新しいレーベル”、そしてU-NEXTというブランドをどのように成長させていきたいか教えてください。

Jonathan:「U-NEXTオリジナル」は、最高の時間を配信するために、我々がコンテンツにこだわり抜くという証明であり、ユーザーとの約束です。

この新しいレーベルを通して、期待を超えるコンテンツ、体験を創っていきたい。それによってU-NEXTは市場において代替できないユニークさを獲得できるはずです。

今年4月のリブランディングによって、U-NEXTというブランドは新たなスタートを切りました。U-NEXTオリジナルとともに、私たちは次のステップへと進んでいきます。ロゴアニメーションはその決意表明でもあるのです。

株式会社U-NEXTのコーポレートnoteです。 https://www.unext.co.jp/