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【レポート】英語は機会を最大化するツール。クリエイターが“日本語禁止”で語る、語学とキャリア

国や言語にとらわれず活躍したいクリエイターを応援するために。U-NEXTでは「デザイン」や「テクノロジー」について“日本語以外の言語”で話すイベント『How Might We Work』を主催しています。

2020年10月9日には、第1回目を開催。「英語が話せてどう変わった?クリエイターたちのキャリア」をテーマに、日本で育ち日本語を母語としながらも、英語を学び仕事の幅を広げたゲストを迎えました。

登壇したのは、All Turtles Senior Designerの灰色ハイジ (Namika) さん、Retail Futurist / noteプロデューサーの最所あさみさん、All Turtles Senior Designer 鈴木智大さん、SO GOOD GROUP代表パートナーの小野壮彦さん。ファシリテーターはU-NEXTのボウザス裕子が務めました。

英語を身につけたことで、どのような経験や機会が得られ、キャリアが拓けたのか。本記事では、全編英語で繰りひろげられたトークの様子を日本語化・一部抜粋しレポートします。

英語でアウトプットすると機会が圧倒的に増える(灰色ハイジさん)

イベントの前半では、英語を学ぶきっかけや勉強法、キャリアの変化について、各登壇者が発表しました。

1人目は、All Turtlesサンフランシスコ本社で、デジタルプロダクトやブランドのロゴデザイン、ビジュアルデザインを手がけている灰色ハイジ (Namika) さん。

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2017年の後半にサンフランシスコへ移住した彼女は、当初「コーヒーの注文すら苦戦していた」レベルだったそう。そこから仕事使えるレベルまで英語力を高め、現地で就職を果たします。

ハイジさんは6週間ほど語学学校に通った後、プロダクトデザイナー向けブートキャンプ「Tradecraft」に参加。デザインを通して英語を学んでいきました。幾度も挫折を味わいながらも英語を身につけていった経緯は、ハイジさんのnoteで詳しく紹介されています。ぜひこちらも読んでみてください。

移住に伴い、必要に迫られ英語を学び始めたハイジさんでしたが、英語を身につけたことで「機会が圧倒的に増えた」と語ります。

ハイジさん「例えば、以前『Dribbble』にデザインパターンを投稿していたら、それを見たFigmaのデザイナーToni Gemayelさんからリプライが来て、彼らのMediumに寄稿することになりました。

もし英語を学んでいなければ、英語で投稿していなかったでしょうし、連絡も来なかったかもしれません。仮にきたとしても、返信して記事を書くこともできませんでした。英語でアウトプットするだけで、こんなに世界が広がるのだなと実感しました」

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英語を使って活躍の幅を広げているハイジさん。2020年6月には、アプリやサービス開発についての英単語やフレーズをまとめた『デザイナーの英語帳(BNN新社)』を出版。「同じように英語を勉強しているデザイナーでの参考になれば」という想いが込められているそうです。

優れたデザイナーと多様な働き方を実践する日々(鈴木智大さん)

2人目は、鈴木智大さん。ハイジさんと同じAll Turtlesの東京オフィスに勤務し、日本と米国の共同プロジェクトを中心に、デジタルプロダクトのデザインに携わっています。

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鈴木さんはロンドン旅行で感じた「一言も英語を喋れなかった悔しさと苛立ち」をバネに勉強をスタート。途中、留学先のフィリピンで英語を話す恋人と出会い、「もっとスムーズに話したい」気持ちから学習意欲はさらに高まったといいます。

働きながら英語学習を続けるため、鈴木さんが徹底したのは学習の記録と可視化。リーディングやスピーキング、リスニングなど、学習の内容と費やした時間を、スプレッドシートで管理。日々の成果を可視化することでモチベーションを高めていました。イベントを収録した2020年9月28日時点では、総学習時間は4748時間にも登るといいます。

スプレッドシートで学習時間を管理するなど、自分に合った形で英語学習をデザインした経緯は鈴木さんのnoteにもまとまっています。こちらもぜひチェックしてみてください。

今では、英語を使って同僚と問題なくコミュニケーションを取る鈴木さん。社員のバックグラウンドも価値観も多様なAllTurtlesで働く日々は、新たな気づきに溢れていると言います。

鈴木さん「All Turtlesはビジネスの意思決定スピードが速く、より良いアウトプットのためなら、途中で方針やデザインの変更も躊躇しません。そのフレキシブルさから学ぶことは大いにあると感じます。

また、働き方も多様です。僕自身も新型コロナウィルス感染症が流行する以前は、ベルリンオフィスでも働いていました。働く場所はもっと柔軟でよいのだと考えるようになりましたね」

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グローバルな環境で揺さぶられた「働き方」の価値観(小野壮彦さん)

3人目は小野壮彦さん。ヴィッセル神戸やZOZOなど名だたる企業で、事業経営やアドバイザリー業務に携わった後、2019年にタレントマネジメントエージェンシーSO GOOD GROUPを設立しました。

大学時代にカナダのモントリオールに留学した小野さんは、英語を通して異なる世界に飛び込んだことで、キャリアに対する考え方が大きく切り替わったそうです。

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小野さん「留学する以前は、『大学を卒業したら、大企業に入社して、定年まで勤め上げる』といった、一本道のキャリアを思い描いていました。なるべく安定して、リスクの少ない道を歩きたかったんですよね。

でも、日本と異なる環境に身を置いて、恥ずかしい思いや失敗をしながらも、かけがえのない友人ができて...と充実した留学生活を過ごした結果、間違いや失敗を恐れなくなった。むしろ、失敗から学べば良いし、その試行錯誤が面白いと感じられるマインドが身についた。

そうすると、キャリアも『アドベンチャー』に見えてくる。安定よりも、どんどんチャレンジしたい気持ちが湧いてきたんです」

その結果、8社の企業を渡り歩いたり、2度の起業を経験したりするなど、「昔は想像もしていなかった」キャリアを積んだ小野さん。留学で培った英語力を活かし、米国やドイツへの駐在も経験しました。

なかでも米国の大手デザインファームTBWAと仕事をした際の出来事を例に、「クリエイターが海外で働くメリット」について、自身の考えを共有してくれました。

小野さん「オフィスに足を踏み入れたとき、その活気に驚きました。人種も言語も多様な人たちが、上下関係もなく、自由に意見を交わしている。遊ぶように仕事をするプレイフルネスと、自分たちの領域の仕事は責任もってやり遂げるプロフェッショナリズムが同居しているんです。

こうした環境でクリエイターが得られる刺激は計り知れないと感じました。より創造性を発揮できる環境がある。それだけでも、グローバルな環境で仕事をすることには、夢があるのではないでしょうか」

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英語は“想像もしなかったところ”へ連れて行ってくれるツール(最所あさみさん)

4人目はRetail Futuristとして記事執筆や小売店へのコンサルティングなどを行う最所あさみさん。

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英語学習を始めた2年前は、スピーキングテストで「日本人平均を大きく下回るスコアだった」そうですが、今では英語でのインタビューやアテンドも担うレベルに。その学習プロセスは、こちらのnoteでも詳しく紹介されています。

英語を学んだことで「仕事のチャンスが広がった」という最所さん。2019年には、兼ねてから注目していた小売コンサルタントのダグ・スティーブンス氏が来日した際は、インタビューとアテンドも経験できたそう。

また、小売の情報を英語でインプットできるようになった結果、「日本語圏の外で議論されているトピックに触れ、新たな視点を得られるようになった」といいます。現在は、英語がきっかけとなり新しいゴールも見つかったそうです。

最所さん「海外の情報に触れたり、小売の専門家にインタビューをしたりするなかで、『日本の小売にまつわる情報をもっと英語で発信したい』と考えるようになりました。また、小売について海外の大学で勉強するなども検討しています。いずれも、英語を学ぶ前は想像もしなかったでしょう。

『Language is just a tool But this tools will take you place you’ve never imagined』という言葉があります。言語はただのツールだけれどあなたを想像もしなかった場所へと連れて行ってくれる、という意味ですね。まさに、英語はわたしの思考や関係性を広げ、新たな場所へ導いてくれました」

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「デザインの価値がより理解されている」環境で働く意義

イベントの後半では、ハイジさんと鈴木さん、小野さんの3人でパネルディスカッションを行いました。パネルは、参加者が申込時に「登壇者に聞きたいこと」として挙げてくれたもののなからセレクトしたもの。本記事では、セッションで話されたものの一部を抜粋して紹介します。

(編注:最所さんはパネルの収録日に参加できなかったため、他3名でのパネルトークとなりました。)

初めに挙がったトピックは「日本と海外の転職活動やワーキングカルチャーの違い」。ハイジさんは米国で就職活動をした経験から「選考プロセスから全然違う」と語ります。

ハイジさん「デザイナーとして選考を受けると、まず対面かオンラインでの面接を受け、それからポートフォリオレビュー、デザインクリティーク(特定のデザインがビジネスの目的やユーザーニーズに対して適切であるかを批評するワーク)、デザインエクササイズ(与えられた課題を提出するワーク)と進みます。最後に再び面接がある場合もありますが、実践的なプロセスがかなり多い。

例えば、デザインエクササイズでは、20分間でデザインのワイヤーフレームやサマリーを描いて発表するものや、1週間程度でユーザーリサーチをしてプロトタイプを制作して提出するものなどがありました。未経験やスキルが足りない状況では雇ってもらえません。スキルや経験を厳しく評価されるのは、日本との大きな違いだと感じます」

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さらに、働き始めてからも違いを感じる場面が多々あるそうです。

ハイジさん「先ほど小野さんの話にもありましたが、いわゆる先輩と後輩といったような、上下関係が存在しません。メンターがいてサポートしてくれるけど先輩ではない。それは自分にとって働きやすいなと感じます。

もう一つ、大きな違いはデザインの価値が理解されていること。特にカリフォルニアのベイエリアの企業では、プロダクトの意思決定においてデザイナーが果たす役割が大きい。そうした環境で仕事をするのは、強いやりがいを感じます」

企業におけるデザインの価値については、小野さんも「経営層がデザインやクリエイティブの力を強く信じていますよね」と大きく頷いていました。

「あなたが誰で、何ができるのか」の発信がファーストステップ

「企業におけるデザインの価値に大きなギャップがある」という話を受け、ファシリテーターのボウザス裕子は「国内外のデザインスキルにもギャップはあるのでしょうか?」と問いを投げかけます。

すると、ハイジさんも鈴木さんも「スキル面には大きなギャップはないと思う」と一言。では、これまで日本で活動してきたデザイナーが、バックグラウンドも言語も多様な環境で働く際にはどのような力が大切になるのでしょうか。

ハイジさんが真っ先に挙げたのは、人種や母語、バックグラウンドも異なるメンバーとの違いに「寛容であること、リスペクトを持つこと」。続く、鈴木さんが指摘したのは「ユニークなスキル」です。

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鈴木さん「デザインスキルに大きな差はなくとも、英語力では劣ってしまうことは少なくないと思います。だからこそ、それでも存在感を示せるようなアウトプットが必要になる。そのためにも、自分にしかないスキルを身につけることは必須だと感じます」

スキルで抜きん出る重要性を語った鈴木さんに対し、小野さんは「少し変化球かもしれませんが」前置きした上でフィットネスが大切だという視点をあげました。

小野さん「グローバルな職場では社員によって属するタイムゾーンも異なります。日本にいながら、米国時間やヨーロッパ時間に対応するような働き方が求められるケースもある。英語で話すだけでもエネルギーが要りますが、仕事のリズムも変わってきます。柔軟に働きながらも心身のバランスを崩さない、セルフメンテナンス力も大切だと感じます」

最後に「海外でデザイナーとして働きたいときのファーストステップ」をたずねると、ハイジさんは「自分が誰で、何ができるのか」を発信する大切さを挙げました。

ハイジさん「国外で働きたいなら英語でポートフォリオを作成するのが第一歩だと思います。私も就職活動のとき、まずはポートフォリオをつくりました」

ハイジさんのお話に、鈴木さんも言葉を続けます。

鈴木さん「そうですね、僕はポートフォリオこそ作成しなかったものの、Dribbbleで他のデザイナーと交流したり、Linkedinのアカウントをつくったりしました。国外のデザイナーも利用するプラットフォームを活用するのは、デザイナーや企業とつながる良い方法だと思います。実はちょうど30分前にも、Linkedinで英語のジョブオファーが届いていました。それくらい頻繁に活用されています」

二人と同じく、小野さんも「海外ではLinkedinが名刺代わり。まずは英語でプロフィールを書いてみることから始めると良いかもしれませんね」と語りました。

英語という“ツール”を駆使して見慣れた世界から飛び出し、新たな経験やスキル、視点を得ていた4人。海外で働きたいかどうかにかかわらず、日本語以外の言語を学ぶことで、クリエイターは自らの視野を広げ、キャリアを切り拓いていけるはず。第一回目の「How Might We Work」は、そう改めて実感する時間となりました。

本イベントの動画は、以下のYouTubeにてご覧いただけます。記事を見て興味をお持ちいただけた方は是非チェックしてみてください。
https://youtu.be/GU0gwEskSzA


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